任天堂が株主総会で「ファンアートや二次創作にどう対応するの?」と聞かれて、こう回答してた(2010)

2010年6月29日(火)第70期 定時株主総会 質疑応答

資料として。

Q 14  基本戦略の「ゲーム人口の拡大」と関連して、ファン活動と知的財産の扱いについて伺いたい。近年、任天堂のタイトルを題材にした同人漫画やオリジナルショートムービー、バンド、コスプレ、ウェブサイト、オーケストラなどが活発だが、こういう知的財産、ライセンスを脅かす恐れがある場合は積極的に取り締まるのか、それともファンの活動であるということでそのまま見守るのか。何か方針があればお聞かせ願いたい。

A 14
岩田:

 まず、今のお話は非常に判断が難しい側面を持っています。知的財産を脅かす行為をあらゆる面で黙認しますとは、当然申し上げられませんし、一方で当社に好意を持っていただいて何かしただけで、まるで「任天堂は自分を犯罪者扱いするのか」というような対応もまた不適切かと思います。表現の中には、私どもの知的財産の品格をおとしめるような明らかに度を越えたものや、あるいは事実と異なるものと組み合わせてその知的財産の世界観を破壊してしまうようなものも当然ありうるわけです。社会との中で折り合いがつき、私どもの知的財産の品格や価値がおとしめられない表現かどうかというのが、一つの判断点かと思います。ただ、判断が非常に微妙な要素も持っておりますので、一律にこういう線を持って私どもはこの場合はこうしてこの場合はこうしますということは申し上げにくいです。

 そういう意味では、すべての点でこのことについてオーケーですとは当然申し上げられませんし、どんな小さなものでも、ものすごい勢いで対応できるかというとそれはまた現実的ではないと思うんですね。逆に私どもも、インターネットを使って個人がいろいろな情報を発信できるような時代になりましたので、今日こういうお話をお聞きして改めて考えますと、こういう事例について、任天堂だけが見つけるということは無理ですから、ここは任天堂の知的財産の価値や品格を傷つけているのではないかということを感じられたお客様が当社の側に何らかの形でコンタクトをする窓口をはっきりさせることによって、それを感じられたお客様から任天堂にお知らせいただいて、任天堂がその後適切な措置をとるという方向を探らねばならないなと思いますので、そのような対応をこれから考えたいと思います。